自殺0をめざす明日の約束プロジェクト

自殺をなくすことは最優先課題です。さいたま市では毎年約200人もの人々が自殺で亡くなっています。日本では毎年2万人以上の人が自殺で亡くなっています。日本の自殺率は先進国のワーストクラスです。

特に日本では若年層や妊産婦という希望に溢れている筈の人々の自殺が多くなっている点が深刻です。15歳から39歳までの人々の死因の第1位は自殺です。若者が希望を持って生きられるようにすることは社会の責任です。

自殺は深刻な社会問題です。自殺に追い込まれることほど哀しいことはありません。死は悲しく、理不尽なものです。あってはならない犠牲です。自殺は社会の問題です。自殺は個人が選択した結果と言われるかもしれませんが、もし、その人が順境にあれば自殺することはありませんでした。自殺に追い込んだ原因の一端は環境にあります。

「大人であれ、子どもであれ、自殺する人の誰一人として、喜んで死を選ぶ人はいない。「死にたくないけど、死ぬしかない」。仕方なく死を選ぶことを社会に強いられているのだ」(河合薫「「自殺大国」に甘んじるニッポン株式会社の“異常”」日経ビジネスオンライン2010年9月2日)

日本の自殺率の高さは海外でも問題視されています。英国の経済誌『エコノミスト』は日本の社会的文化的要因を指摘しています(Economist, Suicide in Japan; Death be not proud; A rash of suicides horrifies Japan, May 1st 2008)。

Japan has one of the highest suicide rates among rich countries. Cultural factors are partly at play. Japanese society rarely lets people bounce back from the perceived shame of failure or bankruptcy. Suicide is sometimes even met with approval-as facing one's fate, not shirking it. The samurai tradition views suicide as noble (though perhaps out of self-interest, since captured warriors were treated gruesomely). 

https://www.economist.com/node/11294805

自殺をなくすためにはどうすればいいでしょうか。私達は明日の約束を考えました。明日の約束は生きる意味になります。人は明日の約束があると死ねません。約束があると、約束を果たそうと思うものです。明日の約束は魔法の言葉です。

そのために「明日の約束」をするための場所づくりを始めたいと考えます。ネットとリアルの双方で「明日の約束」ができる場を作ります。インターネット上のコミュニティーと駆け込み寺などのリアルの場に明日の約束ができる場を作ります。明日の約束とネットコミュニティーとリアルの場で自殺をなくします。

コミュニケーションの手段として若者には電話以上に身近になったネット上にコミュニティーを作ります。また、現実の場でも駆け込み寺を作ります。困ったり悩んだり苦しかったり辛かったりした時には、あそこに行けば良いんだ、助けて、支えて、聞いてと言える場所、逃げ場所、居場所にします。このような場を作り、増やしていくには官民一体の本気の取り組みが必要です。官民一体の取り組みで、さいたま市をさらに元気なまちへ。みんなの力を結集しましょう。

 

さいたま市の自殺死亡率

日本は世界各国と比べて自殺率が高く、自殺の防止は国家的課題です。国立社会保障・人口問題研究所の2010年の推計では日本国内の自殺とうつ病による経済損失は年間2兆7千億円になります。

自殺の動機は健康問題が圧倒的に多いです。2015年のさいたま市の自殺者の動機では健康問題は73.2%です。次が経済・生活問題で12.2%です(『第2次さいたま市自殺対策推進計画』15頁)。健康問題の中には、うつ病の悩みや影響が含まれています。

各国の自殺死亡率の傾向は、旧社会主義国や東アジアで高く、南ヨーロッパで低いです(矢野恒太記念会『世界国勢図会-世界がわかるデータブック(2015/16年版)』(矢野恒太記念会、2015年、444頁)。公益重視で集団主義的な社会は個人が抑圧されて自殺が増えるということでしょうか。

 

世界各国の自殺死亡率(世界保健機関2015年)は以下の通り。

韓国・モンゴル28.3

日本(2010年)24.3

さいたま市(2009年)23.8

ポーランド22.3

ハンガリー21.6

ロシア20.1

日本(2015年)19.7

フランス16.9

さいたま市(2015年)15.6

アメリカ合衆国14.3

ドイツ13.4

イギリス8.5

※さいたま市の自殺死亡率は『第2次さいたま市自殺対策推進計画』10頁。

 

さいたま市の自殺死亡率は日本と比べて相対的に低いですが、それでも年間200人近くもの人々が自殺で亡くなっています。自殺死亡率は人口10万人あたりの自殺者数です。

さいたま市は自殺者数に占める若年層の割合が全国や埼玉県より高い点が特徴です。全国26.3%、埼玉県28.4%、さいたま市32.0%です(「第2次さいたま市自殺対策推進計画」94頁)。

「埼玉県って首都圏に近くて交通の便もいいので、色んな夢をもった方が集まってくるかと思うんです。そんな人達が大きな悩みにぶつかったとき、ふと周囲を見渡すと親しい人が誰もいない。そのことに一人絶望して、そのまま……、っていうケースがあるんじゃないかなって思います」(埼玉県保健医療部疾病対策課「若年層向け自殺予防キャンペーン×美人時計」(あやな))

 

また、区毎に開きがある点は気になるところです。各区の自殺死亡率は以下の通り。2009年から2015年の平均値です(『第2次さいたま市自殺対策推進計画』21頁)。

岩槻区23.0

桜区22.9

西区・大宮区22.6

見沼区20.2

緑区19.3

北区19.2

中央区18.0

浦和区15.8

南区15.7

最も自殺死亡率が高い岩槻区と最も低い南区では7.3ポイントもあります。これは日本とドイツの自殺死亡率の差よりも大きいです。つまり、自殺死亡率の高い国と低い国くらいの差があります。浦和区や南区という人口の多い区の自殺死亡率が低いため、さいたま市の自殺死亡率が低くなっていると考えられます。

2018年冬ドラマでは『アンナチュラル』が話題でした。主人公の三澄ミコト(石原さとみ)は浦和出身ですが、浦和市は「浦和市一家四人無理心中事件」という、さいたま市にとって不名誉な紹介のされ方でした。

さいたま市で自殺死亡率が最も高い岩槻区の若年層自殺者の割合は22.3%です。高齢者の割合が高い類型です。これに対して次に自殺死亡率が高い桜区の若年層自殺者の割合は35.1%と高めです。

 

妊産婦の自殺

自殺のカテゴリで無視できないものは妊産婦の自殺です。東京23区で自殺により亡くなった妊産婦の数は2005~2014年の10年間で63人になります(「10年で63人…東京23区 産後うつ影響か」毎日新聞2016年4月24日)。日本産科婦人科学会などの調査依頼に基づき、東京都監察医務院と順天堂大の竹田省教授が調査しました。

出産数に占める割合では10万人あたり8.5人。これは出産時の出血などによる妊産婦死亡率の2倍です。妊産婦の自殺死亡率は全人口の自殺死亡率に比べると相対的に低いものの、子どもを生み、育てるという状況の数字としては問題です。

妊産婦の自殺者の内訳は妊娠中の自殺は23人(妊娠2カ月で12人)、産後1年未満は40人(産後4カ月で9人)。出産後に自殺した人の3分の1が産後うつ。「急激なホルモンバランスの変化や慣れない育児へのストレス、疲労などによって、うつまでならなくても体がだるいとかイライラするなどの不定愁訴が増える」(中山美里「妊産婦の死因1位は「自殺」。共感の声が続々 、その内容とは?」BRAVA 2016年4月30日)

「家庭内で「お母さん」と同じだけの働きをする大人を確保すること、出産で思った以上に心身ともに傷ついている産褥婦のケアをしっかり行うことで、産後うつは減らせるのではないか」(kikka303「妊産婦の死因の最多が“自殺”という事実。 初産後に産後鬱を経験した2児の母が思うこと」赤すぐみんなの体験記2016年4月27日)

 

過労自殺

自殺は殺人です。いじめやパワハラが背後にあることが多いです。自殺の類型としては過労自殺も無視できません。ワタミ過労自殺や電通過労自殺のように若者の自殺の問題にも重なります。過労自殺は過労死の中で語られることが多く、長時間労働が問題視されますが、パワハラも大きな原因です。

作家の江上剛さんは以下のように指摘します。「人は長時間労働だけで自殺まではしないと思うんです。必ずパワハラがセットになっている」(「過労自殺の背後に必ず「上司のパワハラ」がある」毎日新聞2017年1月1日)

過労ではなく純粋にパワハラ自殺のケースもあります。神奈川県警の警察官の拳銃自殺は、男性上司から「お前と組みたいやつなんかいない」などと言われ、蹴るなどの暴力を受けたとされます(「<巡査自殺>「パワハラ原因」遺族が損賠提訴 横浜地裁」毎日新聞2018年3月13日)。

過労死自体も長時間労働だけでなく、パワハラが重要な要素になっています。東急ハンズ心斎橋店過労死事件では月80時間という昭和の感覚では相対的に短い残業時間でも7800万円という高額な損害賠償が命じられました。その背景には罵倒などのパワハラが存在しました。一律に労働時間を規制する画一的官僚的手法だけでは過労死や過労自殺をなくせません。